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【米国経済】シェール革命とエネルギー価格下落のインパクトについて語ってみた

ECONOMY
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シェール革命とは、今まで困難であったシェール層からの石油や天然ガスの抽出が可能になったことにより、世界のエネルギー事情が大きく変わることを指す。

これにより、アメリカはエネルギー革命を起こし、石油価格は下落し世界の石油市場を牛耳っていたOPECは市場価格にその価値をゆだねるしかなくなった。

今や世界のエネルギー主導権はアメリカにあるといっても過言ではない。

しかし実際には、2013年に起こったシェール革命からどれだけの影響をアメリカは与えられているのか、その範囲と効果を論じていきたいと思う。


シェール革命ブームが仇に

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鉱業関連への設備投資が減少

アメリカでは、設備投資は2015年頃から減速感が強まり、米国経済の足を引っ張ってきた。

設備投資減少の大きな要因となったのは、鉱業による投資の大幅な減少である。設備投資のうち、鉱業関連の構築物投資は14年のピーク以降2年間で6割以上も減少。

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言うまでもなく、鉱業による投資が大幅に減少したのは、エネルギー価格の急激な下落を受けたものである。代表的な原油価格の指標であるWTIは、16年初めには一時30ドルを割り込む水準まで低下した。

加えてエネルギー価格が急落する前のアメリカでは、シェール革命による大きな期待で鉱業関連投資が大幅に増加。シェール革命を背景とした資源開発の進展によってアメリカは世界最大の産油国となった。と同時に原油価格下落による影響を強く受けることに。

エネルギー価格の下落により、輸出の減少が進まった。そして国内製造業の生産を押し下げ、鉱業関連の投資も停滞感を強めるようになったのである。

金融市場も大きな低下

また、エネルギー価格の急落は、実体経済のみではなく、金融市場にも大きな影響を与えた。

シェール革命に対する期待に加えて、金融危機以降、緩和的な金融環境が続いたため、資源開発関連企業に対する投資は大きく増加していた。

しかし、エネルギー価格の急速な下落によって、とりわけ格付けが低い企業を中心に資源開発関連企業の債券価格は急落し、債券市場全体も動揺することになった。


エネルギー価格低下によるプラス面

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ただし、エネルギー価格の下落にはマイナスの側面だけでなく、米国経済にとってプラスの面もあった。

国内消費の拡大

エネルギー価格の低下によってインフレ率の上昇が抑えられた結果、個人の購買力である実質所得は押し上げられた。ガソリン価格の低下は、自動車販売を押し上げ、個人消費を下支えしたと考えられる。

企業については、エネルギー価格の下落は、鉱業・石油・石炭製品・化学工業などにとっては収益悪化要因になったものの、非製造業を中心とする大半の企業は原材料価格や電力価格の低下が生産コストを押し下げ、収益改善に寄与した。

米国は世界最大の産油国であると同時に、世界最大の原油消費国であり、原油純輸入国でもあるため、原油を中心としたエネルギー価格の下落によって企業部門全体としては交易条件が改善した。

金融緩和バブルの発生確率の低下

エネルギー価格下落によってインフレ率が低位で推移したことが、金融緩和を長期化させる一因に。

しかし、投資の急減やエネルギー関連企業の債券価格の下落は、結果的に長期わたる金融緩和によるバブルの芽を摘むことになったと解釈できる。

超低金利政策が維持されているためバブルの発生に対する懸念は根強く、こうしたエネルギー関連産業の調整によって、引き締めを急ぐ必要性が低下したといえる。


原油価格安定でシェール革命に再度脚光

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16年以降、原油価格は下げ止まっており、原油価格が下落し続ける中で見過ごされてきたシェール革命によるプラスの面が今後顕在化すると見込まれている。

原油価格が低位で安定

シェール革命が米国経済にもたらす最大の恩恵は、原油価格の安定である。14年半ばからの原油価格下落が米国経済を下押ししたのと矛盾するようだが、原油純輸入国である米国にとって、本来は原油価格は低位で安定するのが望ましく、それがシェール革命による恩恵として最も期待された部分であった。

米国内の原油採掘リグの稼働数は、原油価格下落に伴って減少が続いたが、原油価格の下げ止まりに若干遅れる形で持ち直しがみられている。米国の原油生産者はOPEC国のような政治的な思惑に縛られることなく、原油価格と採掘コストの見合いで生産量を決められるからだ。

稼働数が増加すれば、もし原油価格が上昇したとしても米国の原油生産量は増加し需給を緩和させるため、価格上昇を抑えることができる。稼働リグはピークの水準からすれば低位にとどまっており、生産余力は十分に残されている。

しかし、鉱業における低稼働率は、裏を返せば設備投資の必要性が低いことを意味する。急減した鉱業関連投資は、徐々に下げ止まっていく可能性が高いが、増加に転じるには時間がかかると考えられる。

 

 

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